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税理士コラム
回収不能の売掛債権と貸倒処理時に税務判断のポイントとなる"継続的な取引を行っていた債務者"の判断基準
富山県富山市の福田税理士事務所の福田です。
平成25年度の税理士試験が、8/6(火)から3日間に渡り、実施されますが、毎年この時期になると、受験するわけではないのに、なぜか緊張気味になってしまいます。
ところで、回収不能となった売掛金がある場合には、貸借対照表から消してしまうのは、経営判断の側面からも、節税の観点からも、とても重要です。
この場合、貸借対照表から消すときに、貸倒損失という処理をすることになりますが、税務の要件を整えていない場合には、損失としては認められずらいことになります。
そのため、貸倒損失処理の実行にあたっては、税務の要件を整えているかどうかを検討することが重要です。
【貸倒損失処理の実行にあたっての税務の要件とは!?】
税務調査時の対応などを考えると、貸倒損失処理に関する税務については、"法人税法基本通達"に記載されている要件を満たしているかを検討することになります。
この要件については、"売掛債権が法律的に回収できなくなった"というものから、"回収できない売掛金が10,000円あるんだけど、ガソリン代と高速代だけでも往復最低30,000円もかかる場合"など、幅広く記載されています。
この貸倒損失の要件については、細かい部分で制約が多いので、慎重な検討が必要ですが、その中でも、売掛金などの売掛債権については、回収できないといっても債権保全の手続を取るのが難しいので、通常の貸付金よりも、やや緩く規定されています。
これについては、"法人税法基本通達9-6-3"に記載されています。
【法人税法基本通達9-6-3の注書きに注意が必要!?】
法人税法基本通達は、国税庁の税務行政に関する判断の重要な指針となりますので、税務調査時のリスク軽減には、大変有用です。
ところで、法人税に限らず、基本通達には、注書きが重要になる場合がありますが、この売掛金の貸倒損失処理にあたっても、ポイントになります。
この通達の9-6-3(1)では、取引停止後1年以上経過の場合には貸倒損失処理が認められるとしていますが、注書きでは、"例えば不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権については、この取扱いの適用はない。"と書いてあります。
ここで気になるのが、"お得意様として何度も利用してもらうつもり"で商売をしていたものの、"利用が1回で、結局その後代金の回収ができなかった"という場合です。
【国税庁の考え方とは!?】
これについては、国税庁の質疑応答集にとても参考になる見解が明示されています。
そこで、要点をいくつかピックアップしてみました。
・一般消費者対象の衣料品の通信販売である
・同一の顧客に対して継続的に販売している場合もあるが、1回限りの場合も多い
・一度でも注文があった顧客について、継続・反復して販売することを期待してその顧客情報を管理している
・結果として実際の取引が1回限りであったとしても、「継続的な取引を行っていた債務者」として、その1回の取引が行われた日から1年以上経過したときには貸倒損失処理が可能である。
そのまま適用というわけにはいかないと思いますが、判断にあたってのポイントが含まれていますので、ご参考にして頂ければ幸いです。
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