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消費税率の上昇時には事業者が損をしないように注意!?

UPDATE : 2013/08/27 節税

富山県富山市の福田税理士事務所の税理士の福田です。


消費税増税にむけて、いろいろな動きが出ているようですが、税率が上昇すると、景気の問題以外にも、価格の表示方法や経過措置の問題が出てくるかと思いますが~


例えば、平成26年4月1日以降も、一定の条件を満たす取引の場合には、旧税率をそのまま適用できる経過措置がありますが、これについては、もう少し範囲を拡大して欲しいなと感じたりもします。


税率上昇時に考えられる問題点の一つとして、受注時に前受金をもらって、後日商品が到着する場合について考えてみます。



【請求に注意が必要な消費税!?】

平成26年3月15日に、税抜価格100,000円の商品の予約注文を受けて、消費税込で105,000円の前受金をもらったとします。


平成26年3月31日までにお客様に商品を引き渡す予定でしたが、諸事情により、引渡日が平成26年4月5日になったとします。


この場合、お金をもらったのが旧税率の期間ですが、お客様へ商品を引き渡したのは新税率の期間となります。


新税率の期間内の販売となると、税抜価格100,000円の商品を販売した場合には、消費税込で108,000円(新税率8%)の価格となります。


さて、どうすれば良いのでしょうか?



【旧税率か新税率か?】

旧税率か新税率かの判定については、売上をいつの時点で認識するか、具体的には、前受金入金時の平成26年3月15日か、お客様への商品を引き渡した平成26年4月5日かがポイントになってきます。


国税庁が公表している消費税法基本通達の第9章に、資産の譲渡等の時期に関する通達がありますが、基本的にはこれにより判断することになります。


商品の販売ということであれば、"消費税法基本通達9-1-1(棚卸資産の譲渡の時期)"の解釈によることになります。


この通達には、"棚卸資産の譲渡を行った日は、その引渡しのあった日とする。"と記載されているので、今回のケースでは、引渡のあった日である平成26年4月5日に消費税法上の売上を認識することになり、その結果として8%の税率を適用することになります。



【税率上昇分の3,000円はどうするのか?】

この場合、税抜価格100,000円の商品を販売した場合には、本来は消費税込で108,000円の価格となりますが、前受金だけでは、3,000円の不足(108,000円-105,000円)が生じます。


今度は、この3,000円を、お客様にどうやってお願いして頂くかということになります。


お客様側からすると、"お金を払ったのは旧税率の期間内だから、旧税率で大丈夫のはず"と考えている可能性もあるので、このあたりの対応は、とても慎重になる必要があります。


前受金入金時に引渡日が新税率適用となると見込まれる場合には、当初からお客様に説明して8%の108,000円で請求したほうが、後で3,000円請求するよりもお客様の心証は良いような気もしますが~



また、経営者側からすると、"消費税率上昇分は値引きしますよ~"というような宣伝はどうだろうか?という意見もあるかと思いますが、これについては注意が必要です。



【消費者庁から禁止される表示方法!?】

公正取引委員会のHPに、消費税率上昇時の価格表示などの注意点が公表されています。

この中で、"消費税率上昇分は値引きしますよ~"との表示は禁止されていることがはっきり明示されているので、注意が必要です。


お客様の視点を忘れずにしつつ、経営者側も不利益にならないように、注意が必要だな~と感じました。



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贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その11・相続税の基礎控除額を超えた場合においても利用可能な様々な特例③ 土地の特例

UPDATE : 2013/08/13 節税

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる・その1はこちら

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その2・暦年課税のしくみはこちら

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その3・暦年課税と節税はこちら

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その4・相続時精算課税のしくみはこちら

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その5・相続時精算課税と節税のしくみはこちら

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その6・節税以外のメリットが多い相続時精算課税制度①

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その7・節税以外のメリットが多い相続時精算課税制度②

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その8・相続税がかかるのかどうかがよくわからない場合の判定方法

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その9・相続税の基礎控除額を超えた場合においても利用可能な様々な特例① 保険金の特例

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その10・相続税の基礎控除額を超えた場合においても利用可能な様々な特例② 退職金の特例


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富山県富山市の福田税理士事務所の税理士の福田です。


前回に引き続き、相続税を計算する上での特例のうち、身近なものについて少しだけ考えていきたいと思います。



【土地の評価額はどのようにして算出?】

土地を所有している場合には、その土地の価額の評価を行い、算出した金額が、相続税の算出のもととなる金額になります。
この"土地の評価額の算出の方法"については、各自が自由にするというわけではなく、原則として一定のルールに基づいて算出する必要があります。
"一定のルール"が正しいかどうかについては、難しい側面もありますが、とにかく、一定のルールに基づく必要があります。
土地の評価額は、次の2つの方法のうち、いずれかに方法により、土地の評価額を算出することになります。


・路線価方式
・倍率方式


また、貸地や借地などの場合には、自己所有・自己使用の場合と比較して、評価が下がることになります。
詳しくは、国税庁のHPをご覧ください。 



ところで、通常の売買では、お金をもらって(払って)土地を売却(取得)しますが、相続・贈与などでは、お金が動きません。

このような"お金が動かない場合の時価"は、"通常の時価"よりもやや低め、一般的には公示価格の80%になるように設定されています。

また、"路線価等に基づく評価額">"時価"の場合には、国税庁から各国税局に柔軟に対応する旨の指示があるようです。



【生活維持のために最低限必要な部分の宅地にまで相続税を課税すべきではない!?】

土地の評価額の算出については、上記のとおりとなります。
ところで、土地を保有する目的としては、"居住するため"が多いかと思います。

これについて、"生活維持のために最低限必要な部分の土地に、通常の相続税を課税するのはちょっとどうなんだろうか?"ということになります。
そこで、"生活維持のために最低限必要な土地である"と認定された部分については、評価額の全部に対して相続税を課税するのではなく、評価額全体の2割のみ、多くても5割のみの課税にすべきだ、との制度が認められています。

一般的には小規模宅地等の特例と言われています。



【生活維持のために最低限必要な部分とは!?】
まず、面積の要件が規定されています。
次に、相続開始の前後での使用状況が同一(事業や居住の継続など)であるのか、継続して保有しているのかなどの条件を満たすことが必要です。
詳細については、国税庁のHPをご覧ください。


小規模宅地等の特例の適用を受けるに当たっては、いくつかのポイントに注意が必要です。
それについては、次回検討していきたいと思います。



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回収不能の売掛債権と貸倒処理時に税務判断のポイントとなる"継続的な取引を行っていた債務者"の判断基準

UPDATE : 2013/08/06 節税

富山県富山市の福田税理士事務所の福田です。


平成25年度の税理士試験が、8/6(火)から3日間に渡り、実施されますが、毎年この時期になると、受験するわけではないのに、なぜか緊張気味になってしまいます。


ところで、回収不能となった売掛金がある場合には、貸借対照表から消してしまうのは、経営判断の側面からも、節税の観点からも、とても重要です。


この場合、貸借対照表から消すときに、貸倒損失という処理をすることになりますが、税務の要件を整えていない場合には、損失としては認められずらいことになります。


そのため、貸倒損失処理の実行にあたっては、税務の要件を整えているかどうかを検討することが重要です。



【貸倒損失処理の実行にあたっての税務の要件とは!?】

税務調査時の対応などを考えると、貸倒損失処理に関する税務については、"法人税法基本通達"に記載されている要件を満たしているかを検討することになります。


この要件については、"売掛債権が法律的に回収できなくなった"というものから、"回収できない売掛金が10,000円あるんだけど、ガソリン代と高速代だけでも往復最低30,000円もかかる場合"など、幅広く記載されています。


この貸倒損失の要件については、細かい部分で制約が多いので、慎重な検討が必要ですが、その中でも、売掛金などの売掛債権については、回収できないといっても債権保全の手続を取るのが難しいので、通常の貸付金よりも、やや緩く規定されています。


これについては、"法人税法基本通達9-6-3"に記載されています。



【法人税法基本通達9-6-3の注書きに注意が必要!?】

法人税法基本通達は、国税庁の税務行政に関する判断の重要な指針となりますので、税務調査時のリスク軽減には、大変有用です。


ところで、法人税に限らず、基本通達には、注書きが重要になる場合がありますが、この売掛金の貸倒損失処理にあたっても、ポイントになります。



この通達の9-6-3(1)では、取引停止後1年以上経過の場合には貸倒損失処理が認められるとしていますが、注書きでは、"例えば不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権については、この取扱いの適用はない。"と書いてあります。


ここで気になるのが、"お得意様として何度も利用してもらうつもり"で商売をしていたものの、"利用が1回で、結局その後代金の回収ができなかった"という場合です。



【国税庁の考え方とは!?】

これについては、国税庁の質疑応答集にとても参考になる見解が明示されています。


そこで、要点をいくつかピックアップしてみました。



・一般消費者対象の衣料品の通信販売である

・同一の顧客に対して継続的に販売している場合もあるが、1回限りの場合も多い

・一度でも注文があった顧客について、継続・反復して販売することを期待してその顧客情報を管理している

・結果として実際の取引が1回限りであったとしても、「継続的な取引を行っていた債務者」として、その1回の取引が行われた日から1年以上経過したときには貸倒損失処理が可能である。



そのまま適用というわけにはいかないと思いますが、判断にあたってのポイントが含まれていますので、ご参考にして頂ければ幸いです。



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