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税理士コラム
消費税率の上昇時には事業者が損をしないように注意!?
富山県富山市の福田税理士事務所の税理士の福田です。
消費税増税にむけて、いろいろな動きが出ているようですが、税率が上昇すると、景気の問題以外にも、価格の表示方法や経過措置の問題が出てくるかと思いますが~
例えば、平成26年4月1日以降も、一定の条件を満たす取引の場合には、旧税率をそのまま適用できる経過措置がありますが、これについては、もう少し範囲を拡大して欲しいなと感じたりもします。
税率上昇時に考えられる問題点の一つとして、受注時に前受金をもらって、後日商品が到着する場合について考えてみます。
【請求に注意が必要な消費税!?】
平成26年3月15日に、税抜価格100,000円の商品の予約注文を受けて、消費税込で105,000円の前受金をもらったとします。
平成26年3月31日までにお客様に商品を引き渡す予定でしたが、諸事情により、引渡日が平成26年4月5日になったとします。
この場合、お金をもらったのが旧税率の期間ですが、お客様へ商品を引き渡したのは新税率の期間となります。
新税率の期間内の販売となると、税抜価格100,000円の商品を販売した場合には、消費税込で108,000円(新税率8%)の価格となります。
さて、どうすれば良いのでしょうか?
【旧税率か新税率か?】
旧税率か新税率かの判定については、売上をいつの時点で認識するか、具体的には、前受金入金時の平成26年3月15日か、お客様への商品を引き渡した平成26年4月5日かがポイントになってきます。
国税庁が公表している消費税法基本通達の第9章に、資産の譲渡等の時期に関する通達がありますが、基本的にはこれにより判断することになります。
商品の販売ということであれば、"消費税法基本通達9-1-1(棚卸資産の譲渡の時期)"の解釈によることになります。
この通達には、"棚卸資産の譲渡を行った日は、その引渡しのあった日とする。"と記載されているので、今回のケースでは、引渡のあった日である平成26年4月5日に消費税法上の売上を認識することになり、その結果として8%の税率を適用することになります。
【税率上昇分の3,000円はどうするのか?】
この場合、税抜価格100,000円の商品を販売した場合には、本来は消費税込で108,000円の価格となりますが、前受金だけでは、3,000円の不足(108,000円-105,000円)が生じます。
今度は、この3,000円を、お客様にどうやってお願いして頂くかということになります。
お客様側からすると、"お金を払ったのは旧税率の期間内だから、旧税率で大丈夫のはず"と考えている可能性もあるので、このあたりの対応は、とても慎重になる必要があります。
前受金入金時に引渡日が新税率適用となると見込まれる場合には、当初からお客様に説明して8%の108,000円で請求したほうが、後で3,000円請求するよりもお客様の心証は良いような気もしますが~
また、経営者側からすると、"消費税率上昇分は値引きしますよ~"というような宣伝はどうだろうか?という意見もあるかと思いますが、これについては注意が必要です。
【消費者庁から禁止される表示方法!?】
公正取引委員会のHPに、消費税率上昇時の価格表示などの注意点が公表されています。
この中で、"消費税率上昇分は値引きしますよ~"との表示は禁止されていることがはっきり明示されているので、注意が必要です。
お客様の視点を忘れずにしつつ、経営者側も不利益にならないように、注意が必要だな~と感じました。
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