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税理士コラム

保証人がいる場合に貸倒損失として計上できるかどうかの基準とは!?

UPDATE : 2013/10/08 節税

富山県富山市の福田税理士事務所の福田です。


売上代金の入金がなかなか進まない場合には、会社の資金繰りにも良くありませんので、早めに回収したいところです。


もちろん、取引開始にあたり、取引条件など自社内でルールを設けているかと思いますが、現実的には難しい部分もあるかと思います。


また、大企業とは異なり、中小企業にとっては、感情的な部分でも、回収できないと気が収まらない・・・という方も多いかと思います。


ただ、取引に至った背景や会社の状況などにもよりますが、回収不能と判断した場合には、取引先に対して一定の対応をした後に、売掛金を貸倒損失ということで処理するということも考える必要があるかと思います。


過去のことを引きずるよりも、前向きに対処した方が、会社全体にも良い影響を及ぼすとも考えられますが、いかがでしょうか~


この時に、資金繰りのことなどを考えると、税金の計算上も貸倒損失として認定されるように処理することが重要です。



【税金の計算上も貸倒損失として認定されるためには!?】

税務調査時に、売掛金などの貸倒損失についてのトラブルを避けるには、法人税法基本通達に定める要件を満たしておいた方がよいです。


この要件については大きく分けて3つありますが、その中の一つに、"債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合"というものがあります。



これについては、昭和41年までは、"破産・和議・強制執行・資産の整理・死亡・行方不明・債務超過、天災事故・経済事情の急変等の事実発生"ということが要件だったようですが、この基準が厳格すぎるきらいがあり、税務調査時のトラブルが続出したため、"債務者の資産状況、支払能力等"に変わったようです。


もちろん、事実の立証に困難な部分はありますが、税務署側の立ち位置が、以前より少し弱まったということは間違いないかと思います。



ただし、"債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合"を立証できたとしても、債務保証がある場合には、その保証人からも回収できないことが明らかでないと、税務調査時にトラブルになることが考えられます。



【保証人から回収できないことが明らかかどうかの判断基準は!?】

これについては、国税庁のHPに、参考資料が明示されています。


詳細は国税庁HPをご覧いただければ明らかですが、"生活保護と同程度の収入しかなく、差押禁止財産程度しか資産を有していない"ということであれば、保証債務の履行を求めていない場合であっても、保証人から回収できないものとして取り扱うことができるようです。


法的に債権が消滅していない場合には、売掛債権等のみに認められた通達と、この通達を上手く活用して、経営者の皆様におかれましては、前向きに経営のかじ取りをして頂ければと思います。



【ところで】

これらの内容については、平成24年11月に国税庁の質疑応答集で明示されましたが、従来までの一般論よりも、貸倒損失の取扱いが幅広くなったような印象を受けます。


国税庁の内部で、変化があったのかな~とも感じたりしました。



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その事業計画、会社の発展に本当に役に立っていますか!?

UPDATE : 2013/10/02 経営

富山県富山市の福田税理士事務所の福田です。


経営者の皆様におかれましては、経営計画の策定という言葉を聞くと、どのようなイメージが浮かぶでしょうか?


"自社の発展のためには不可欠"という方から、"銀行から言われてしぶしぶやっているやつだな~"という方まで、様々かと思います。


また、自社内で作成される場合もあれば、"自社内でするのはちょっと大変なので、身近な税理士さんにとりあえず聞いてみようかな~"というケースもあるかと思います。


弊事務所でも、"銀行からお願いされたのですが、どうすればよいのでしょうか?"という相談を頂くことがあります。


"銀行からお願いされたので、面倒だがとりあえず何とかしないと・・・"というケースの場合は、"自社の発展に生かす"という視点はないかと思います。


ただ、"面倒な事業計画"をどうせ作らないといけないのなら、これを良い機会として"自社の発展に役に立つ事業計画"を作成してみるのはいかがでしょうか?



【自社の発展に役に立つ事業計画とは!?】

事業計画は、作成するのも大変ですが、その後のフォローもなかなか手間がかかります。


事業計画の作成支援をさせて頂いていると、作成した事業計画を、その後の現実と照らし合わせて、良かった部分、悪かった部分などを抽出することにより、自社の発展に真に寄与するのではないのかな~と感じます。



また、良かった部分については、なぜ良かったのかを徹底的に掘り下げて考え、悪かった部分についても、なぜ悪かったのか、改善の余地はあるのか、改善に向かってどのように手を打つのかなどを検討していきます。


これらのことを考える上で、損益状況や財務・資金繰りを加味することは、本当に役に立つ事業計画を策定するためには必要不可欠です。



【税理士事務所こそが事業計画の作成支援をすべき!?】

税理士事務所は、職業上お客様の会計帳簿の内容を全てチェックさせて頂くことになります。


また、顧問の形態はいろいろありますが、1ヵ月に一度訪問させて頂き、帳簿のチェックと損益・財務内容などについて説明させていただく場合などもあります。



自社内の数字を全て理解していて、かつ、月に一度は何らかの打合せを実施するということを考えると、税理士事務所が事業計画の作成支援をするのが望ましいのかな~と感じます。


このときに、議事録を作成することは重要です。



【議事録が重要!?】

事業計画を作成するときは、まず、どのような目標をもつのかを、数字と文章を通して決めます。


次に、設定した目標に対して、成果が出たのか出なかったのか、その原因も含めて検討します。


今度は、検討事項を全て議事録として作成します。


これを、毎月ひたすら繰り返します。



この繰り返しは、かなり効果があるのではないかな~と、最近感じます。


この作業を、顧問税理士を利用しながら実施すると、別の視点からの意見も出たりして、有意義なものになるのではないでしょうか?



経営者の方々の真の経営パートナーとして、このような役割も求められているのかな~とも感じました。



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連年贈与の指摘を受けることはほとんどない!?

UPDATE : 2013/09/06 節税

富山県富山市の福田税理士事務所の税理士の福田です。


贈与をするに当たって、連年贈与、つまり"毎年同じ時期に同じ金額の贈与をし続けると贈与開始の時に遡って贈与税が課税される"という心配をされる方もいらっしゃるかと思います。


これについては、国税庁のHPにもその旨の記載がありますので、ご心配されるものと思います。


そこで、連年贈与の問題について少し考えてみることにします。



【国税庁のHPの真意とは!?】

国税庁のHPの文章をじっくりとみてみると、質問の文章は"毎年、子に100万円ずつ10年間にわたって贈与することとしましたが"となっています。


これを事例っぽくで言い換えてみると、"平成25年9月6日に、平成25年から平成34年までにかけて10年間に渡って贈与することに決めた"と言えるかと思います。


つまり、"平成25年9月6日に、今後10年間贈与することに決めた"という言い回しになっています。


これをさらに言い換えると、"平成25年9月6日に、1,000万円を毎年100万円ずつ今後10年間に分割して支払う有期定期金の権利を贈与する契約をすることに決めた"ということになります。



【税務調査時での調査官の立場にたってみると】

こんどは、国税庁HPの表現とは異なり、毎年の判断で、10年間に渡り、毎年100万円ずつ贈与してきた場合について考えてみます。


このケースでは、連年贈与と指摘するには、税務調査時に調査官の方が立証する必要があります。


こうなると、状況証拠などで"平成25年9月6日に、1,000万円を毎年100万円ずつ今後10年間に分割して支払う有期定期金の権利を贈与する契約をすることに決めた"というようなものが出てれば、簡単に立証できるでしょうが、そうでなければ、立証が難しいかと思います。


あと、この指摘を贈与が終了した平成34年に受けたとすると、平成25年については時効により課税権が消滅しているという問題も出てくるかと思います。



【昭和49年までは相続税法で連年贈与は課税されていた!?】

先日の研修会で聞いた話なのですが、昭和33年から昭和49年(私の生まれる昭和51年の、さらに2年前のことで、当時のことは良く分かりません)までは、連年贈与が課税されていたようです。


正確には、3年以内に同一人から贈与を受けた場合には、3年分まとめて課税されていたようです。


もちろん、現行の相続税法では、このような規定はありませんので、このような課税もありません。



【いろいろと考えてみましたが】

連年贈与としての課税リスクは極めて低いのではないのかな~と思います。


むしろ、贈与そのものが無効ではないかという指摘に注意が必要かな~と思います。


これについては、贈与した財産が受贈者に帰属しているかどうかについて、きめ細かく考えていくことが必要です。



ところで、昭和49年まで存在した、連年贈与の課税に関する条文は、当時の税理士試験でとても頻繁に出題されていたようです。

ということは、いろいろ問題があったんでしょうかね~と、一人で想像してみました。



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消費税率の上昇時には事業者が損をしないように注意!?

UPDATE : 2013/08/27 節税

富山県富山市の福田税理士事務所の税理士の福田です。


消費税増税にむけて、いろいろな動きが出ているようですが、税率が上昇すると、景気の問題以外にも、価格の表示方法や経過措置の問題が出てくるかと思いますが~


例えば、平成26年4月1日以降も、一定の条件を満たす取引の場合には、旧税率をそのまま適用できる経過措置がありますが、これについては、もう少し範囲を拡大して欲しいなと感じたりもします。


税率上昇時に考えられる問題点の一つとして、受注時に前受金をもらって、後日商品が到着する場合について考えてみます。



【請求に注意が必要な消費税!?】

平成26年3月15日に、税抜価格100,000円の商品の予約注文を受けて、消費税込で105,000円の前受金をもらったとします。


平成26年3月31日までにお客様に商品を引き渡す予定でしたが、諸事情により、引渡日が平成26年4月5日になったとします。


この場合、お金をもらったのが旧税率の期間ですが、お客様へ商品を引き渡したのは新税率の期間となります。


新税率の期間内の販売となると、税抜価格100,000円の商品を販売した場合には、消費税込で108,000円(新税率8%)の価格となります。


さて、どうすれば良いのでしょうか?



【旧税率か新税率か?】

旧税率か新税率かの判定については、売上をいつの時点で認識するか、具体的には、前受金入金時の平成26年3月15日か、お客様への商品を引き渡した平成26年4月5日かがポイントになってきます。


国税庁が公表している消費税法基本通達の第9章に、資産の譲渡等の時期に関する通達がありますが、基本的にはこれにより判断することになります。


商品の販売ということであれば、"消費税法基本通達9-1-1(棚卸資産の譲渡の時期)"の解釈によることになります。


この通達には、"棚卸資産の譲渡を行った日は、その引渡しのあった日とする。"と記載されているので、今回のケースでは、引渡のあった日である平成26年4月5日に消費税法上の売上を認識することになり、その結果として8%の税率を適用することになります。



【税率上昇分の3,000円はどうするのか?】

この場合、税抜価格100,000円の商品を販売した場合には、本来は消費税込で108,000円の価格となりますが、前受金だけでは、3,000円の不足(108,000円-105,000円)が生じます。


今度は、この3,000円を、お客様にどうやってお願いして頂くかということになります。


お客様側からすると、"お金を払ったのは旧税率の期間内だから、旧税率で大丈夫のはず"と考えている可能性もあるので、このあたりの対応は、とても慎重になる必要があります。


前受金入金時に引渡日が新税率適用となると見込まれる場合には、当初からお客様に説明して8%の108,000円で請求したほうが、後で3,000円請求するよりもお客様の心証は良いような気もしますが~



また、経営者側からすると、"消費税率上昇分は値引きしますよ~"というような宣伝はどうだろうか?という意見もあるかと思いますが、これについては注意が必要です。



【消費者庁から禁止される表示方法!?】

公正取引委員会のHPに、消費税率上昇時の価格表示などの注意点が公表されています。

この中で、"消費税率上昇分は値引きしますよ~"との表示は禁止されていることがはっきり明示されているので、注意が必要です。


お客様の視点を忘れずにしつつ、経営者側も不利益にならないように、注意が必要だな~と感じました。



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贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その11・相続税の基礎控除額を超えた場合においても利用可能な様々な特例③ 土地の特例

UPDATE : 2013/08/13 節税

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる・その1はこちら

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その2・暦年課税のしくみはこちら

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その3・暦年課税と節税はこちら

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その4・相続時精算課税のしくみはこちら

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その5・相続時精算課税と節税のしくみはこちら

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その6・節税以外のメリットが多い相続時精算課税制度①

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その7・節税以外のメリットが多い相続時精算課税制度②

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その8・相続税がかかるのかどうかがよくわからない場合の判定方法

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その9・相続税の基礎控除額を超えた場合においても利用可能な様々な特例① 保険金の特例

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その10・相続税の基礎控除額を超えた場合においても利用可能な様々な特例② 退職金の特例


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富山県富山市の福田税理士事務所の税理士の福田です。


前回に引き続き、相続税を計算する上での特例のうち、身近なものについて少しだけ考えていきたいと思います。



【土地の評価額はどのようにして算出?】

土地を所有している場合には、その土地の価額の評価を行い、算出した金額が、相続税の算出のもととなる金額になります。
この"土地の評価額の算出の方法"については、各自が自由にするというわけではなく、原則として一定のルールに基づいて算出する必要があります。
"一定のルール"が正しいかどうかについては、難しい側面もありますが、とにかく、一定のルールに基づく必要があります。
土地の評価額は、次の2つの方法のうち、いずれかに方法により、土地の評価額を算出することになります。


・路線価方式
・倍率方式


また、貸地や借地などの場合には、自己所有・自己使用の場合と比較して、評価が下がることになります。
詳しくは、国税庁のHPをご覧ください。 



ところで、通常の売買では、お金をもらって(払って)土地を売却(取得)しますが、相続・贈与などでは、お金が動きません。

このような"お金が動かない場合の時価"は、"通常の時価"よりもやや低め、一般的には公示価格の80%になるように設定されています。

また、"路線価等に基づく評価額">"時価"の場合には、国税庁から各国税局に柔軟に対応する旨の指示があるようです。



【生活維持のために最低限必要な部分の宅地にまで相続税を課税すべきではない!?】

土地の評価額の算出については、上記のとおりとなります。
ところで、土地を保有する目的としては、"居住するため"が多いかと思います。

これについて、"生活維持のために最低限必要な部分の土地に、通常の相続税を課税するのはちょっとどうなんだろうか?"ということになります。
そこで、"生活維持のために最低限必要な土地である"と認定された部分については、評価額の全部に対して相続税を課税するのではなく、評価額全体の2割のみ、多くても5割のみの課税にすべきだ、との制度が認められています。

一般的には小規模宅地等の特例と言われています。



【生活維持のために最低限必要な部分とは!?】
まず、面積の要件が規定されています。
次に、相続開始の前後での使用状況が同一(事業や居住の継続など)であるのか、継続して保有しているのかなどの条件を満たすことが必要です。
詳細については、国税庁のHPをご覧ください。


小規模宅地等の特例の適用を受けるに当たっては、いくつかのポイントに注意が必要です。
それについては、次回検討していきたいと思います。



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回収不能の売掛債権と貸倒処理時に税務判断のポイントとなる"継続的な取引を行っていた債務者"の判断基準

UPDATE : 2013/08/06 節税

富山県富山市の福田税理士事務所の福田です。


平成25年度の税理士試験が、8/6(火)から3日間に渡り、実施されますが、毎年この時期になると、受験するわけではないのに、なぜか緊張気味になってしまいます。


ところで、回収不能となった売掛金がある場合には、貸借対照表から消してしまうのは、経営判断の側面からも、節税の観点からも、とても重要です。


この場合、貸借対照表から消すときに、貸倒損失という処理をすることになりますが、税務の要件を整えていない場合には、損失としては認められずらいことになります。


そのため、貸倒損失処理の実行にあたっては、税務の要件を整えているかどうかを検討することが重要です。



【貸倒損失処理の実行にあたっての税務の要件とは!?】

税務調査時の対応などを考えると、貸倒損失処理に関する税務については、"法人税法基本通達"に記載されている要件を満たしているかを検討することになります。


この要件については、"売掛債権が法律的に回収できなくなった"というものから、"回収できない売掛金が10,000円あるんだけど、ガソリン代と高速代だけでも往復最低30,000円もかかる場合"など、幅広く記載されています。


この貸倒損失の要件については、細かい部分で制約が多いので、慎重な検討が必要ですが、その中でも、売掛金などの売掛債権については、回収できないといっても債権保全の手続を取るのが難しいので、通常の貸付金よりも、やや緩く規定されています。


これについては、"法人税法基本通達9-6-3"に記載されています。



【法人税法基本通達9-6-3の注書きに注意が必要!?】

法人税法基本通達は、国税庁の税務行政に関する判断の重要な指針となりますので、税務調査時のリスク軽減には、大変有用です。


ところで、法人税に限らず、基本通達には、注書きが重要になる場合がありますが、この売掛金の貸倒損失処理にあたっても、ポイントになります。



この通達の9-6-3(1)では、取引停止後1年以上経過の場合には貸倒損失処理が認められるとしていますが、注書きでは、"例えば不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権については、この取扱いの適用はない。"と書いてあります。


ここで気になるのが、"お得意様として何度も利用してもらうつもり"で商売をしていたものの、"利用が1回で、結局その後代金の回収ができなかった"という場合です。



【国税庁の考え方とは!?】

これについては、国税庁の質疑応答集にとても参考になる見解が明示されています。


そこで、要点をいくつかピックアップしてみました。



・一般消費者対象の衣料品の通信販売である

・同一の顧客に対して継続的に販売している場合もあるが、1回限りの場合も多い

・一度でも注文があった顧客について、継続・反復して販売することを期待してその顧客情報を管理している

・結果として実際の取引が1回限りであったとしても、「継続的な取引を行っていた債務者」として、その1回の取引が行われた日から1年以上経過したときには貸倒損失処理が可能である。



そのまま適用というわけにはいかないと思いますが、判断にあたってのポイントが含まれていますので、ご参考にして頂ければ幸いです。



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交際費の全額損金算入の適用時期に注意が必要!?

UPDATE : 2013/07/30 節税


富山県富山市の福田税理士事務所の税理士の福田です。


平成25年度税制改正においては、法人が交際費等を支出した場合において、800万円までは全額損金の額に算入出来るようになったことについては、ご存じの方も多いかと思います。



この規定については、

"交際費の法律が変わったので、進んでお金を使おう!⇒お金が回る⇒景気が活性化する"

という意図があるかと思いますが、中小企業の経営者の方々のお話を聞いていると、まずそんなことはないなあ~という感じを受けますが、どうなんでしょうか?


ただ、会計上の利益と税務上の利益のズレが少なくなるのは良いのかな~なんて感じております。



ところで、"交際費の法律が変わったので、平成25年4月10日に使った交際費は全額損金算入なんだよね?"というように考えられる方も多かと思いますが、これについては注意が必要でして~


ということで、これについて考えてみたいと思います。



【この規定の適用時期は?】

この規定の適用時期は、"平成25年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税"となっています。(詳細はこちら)



ここで、2月末が決算日(申告期限は原則として4月末)の法人と、3月末が決算日(申告期限は原則として5月末)の法人があるとします。


各々の場合に分けて、規定の対象となる事業年度を分けてみると、

"2月末が決算日の法人⇒平成25年4月1日以後に開始する事業年度⇒H26/3/1~H27/2/28が対象"

"3月末が決算日の法人⇒平成25年4月1日以後に開始する事業年度⇒H25/4/1~H26/3/31が対象"

となるものと考えられます。



ということは、平成25年4月10日に使った交際費はどうなのかということについては、

"2月末が決算日の法人⇒H26/3/1~H27/2/28が対象⇒H25/4/10は適用なし"

"3月末が決算日の法人⇒H25/4/1~H26/3/31が対象⇒H25/4/10は適用あり"

ということになります。



ところで、この規定の説明が、国税庁とそれ以外の書籍等とで、異なる部分があるような気がします。



【適用時期に対する考え方の違い!?】

国税庁以外のものを見ていると、"この改正は、平成25年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度に適用"と記載されているようです。


で、国税庁のものを見ていると、"平成25年4月1日以後に開始する事業年度に適用"と書かれています。

ということは、国税庁は長期的に考えているのかな~と思ったりもしました。



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贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その10・相続税の基礎控除額を超えた場合においても利用可能な様々な特例② 退職金の特例

UPDATE : 2013/07/19 節税

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富山県富山市の福田税理士事務所の税理士の福田です。


前回に引き続き、相続税を計算する上での特例のうち、身近なものについて少しだけ考えていきたいと思います。



【相続税の対象となる財産から除外される退職金】

退職金については、民法と相続税法の各々の側面からの検討が必要ですが、今回は税の部分、つまり相続税法のルールについて考えていくことにします。


被相続人の死亡により取得した退職金については、相続税が課税されます。

ただし、ご存じの方も多いかと思いますが、取得した退職金のうち、一定の金額までは、保険金と同様、相続税の課税対象から除外されることになります。



これについては、保険金と同じく、相続税の課税対象から除かれる部分については、"相続税の非課税財産"とも言われます。(相続税法12条)

この"相続税の非課税財産"の部分については、保険金と同様、次の算式で計算した金額を限度として、相続税の課税財産から除外されます。


"500万円×法定相続人の数"


例えば、法定相続人が、配偶者及び子供2名の合計3名の場合には、受け取った保険金については、次の算式により計算した金額を限度として、相続税の課税財産から除外されます。


"500万円×3名=1,500万円"



【保険金と同様に、"誰が相続人かが重要!?"】

"500万円×法定相続人の数"とありますが、これについては、保険金と同様に、"誰が法定相続人なのか?"ということが重要になります。

法定相続人の定義については、国税庁のHPに詳しく記載されていますので、ご覧ください。 



相続放棄があった場合や養子がいる場合などについても、保険金と同様に、計算に注意が必要です。

詳しくは国税庁のHPをご覧ください。



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平成25年度税制改正の研修に行って来ました!

UPDATE : 2013/07/05 節税

富山県富山市の福田税理士事務所の税理士の福田です。

平成25年度税制改正の研修に行って来ました。


平成25年度税制改正の研修テキスト



【平成25年度税制改正の研修と相続税関連の改正】

今年度の税制改正の中でも、強い印象を受けたのは、相続税関連かな~と感じました。

まず、基礎控除の改正です。

一言で申し上げてみれば、"平成27年1月1日以降は基礎控除額が40%減少する"ということかと思います。


これについては、東京都を中心に、猛烈な反対意見があったようでして、その見返りとして、小規模宅地等の改正、具体的には居住用の土地の限度面積を240㎡から330㎡に拡大という取扱いが導入されることになったとのことでした。

また、同居要件の見直しについても、本来あるべき姿に近づいたのかな~と感じました。



【教育資金の一括贈与の目的と効果!?】

教育資金の一括贈与については、どうも使い勝手が良くないんではないのかな~と感じます。


一括贈与しなくても、扶養義務者間での教育費の贈与についての非課税を利用したほうが良いのかな~と感じます。



但し、ある特定の条件が揃ったときは、相続税対策に有効なのかな~とも感じます。

その点では、この法律の趣旨と効果が異なるのではないのかな~と思いました。



【平成26年4月以降の消費税増税!?】

消費税率の上昇に合わせて、平成26年4月前後での経理処理が複雑になるものと見込まれます。


もちろん、経理処理だけではなく、会社経営者の方々におかれましては、価格戦略等の方が重要かと思いますが~


今回の研修テーマではありませんでしたが、これについては、国税庁のHPにも、参考資料が記載されていますので、今後勉強していかなければいけないな~と思いました。



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贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その9・相続税の基礎控除額を超えた場合においても利用可能な様々な特例① 保険金の特例

UPDATE : 2013/07/02 節税

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる・その1はこちら

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その2・暦年課税のしくみはこちら

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その3・暦年課税と節税はこちら

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その4・相続時精算課税のしくみはこちら

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その5・相続時精算課税と節税のしくみはこちら

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その6・節税以外のメリットが多い相続時精算課税制度①

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その7・節税以外のメリットが多い相続時精算課税制度②

贈与した場合の税金についてかんたんに考えてみる その8・相続税がかかるのかどうかがよくわからない場合の判定方法

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富山県富山市の福田税理士事務所の税理士の福田です。


前回は、相続時精算課税を考える上での重要な判断基準となる、相続税がかかるかどうかに関連性が高い"基礎控除額"について考えてみました。


今回は、"贈与した場合の税金"からは少しポイントがずれるかもしれませんが、相続税を計算する上での特例のうち、身近なものについて少しだけ考えていきたいと思います。



【相続税の対象となる財産から除外される保険金】

保険金と相続については、民法と相続税法の各々の側面からの検討が必要ですが、今回は税の部分、つまり相続税法のルールについて考えていくことにします。


被相続人の死亡により取得した保険金については、相続税が課税されます。

ただし、ご存じの方も多いかと思いますが、取得した保険金のうち、一定の金額までは、相続税の課税対象から除外されることになります。

なお、相続税の課税対象から除かれる部分については、"相続税の非課税財産"とも言われます。(相続税法12条)



具体的には、次の算式で計算した金額を限度として、相続税の課税財産から除外されます。

"500万円×法定相続人の数"


例えば、法定相続人が、配偶者及び子供2名の合計3名の場合には、受け取った保険金について、次の算式により計算した金額を限度として、相続税の課税財産から除外されます。

"500万円×3名=1,500万円"



この場合において、"誰が法定相続人なのか?"ということが重要になります。

法定相続人の定義については、国税庁のHPに詳しく記載されていますので、ご覧ください。


また、相続放棄があった場合や養子がいる場合などについては、計算に注意が必要です。

詳しくは国税庁のHPをご覧ください。



【税制改正で非課税枠が消滅!?】

この死亡保険金の非課税の規定については、民主党政権時に縮小等に関する改正案が出ていましたが、平成25年度税制改正においては、改正されませんでした。

しかしながら、今後において改正の可能性もありますので、ご注意ください。

次回は、退職金と相続税の特例との関係について、考えていきたいと思います。



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